建設の歴史散歩+

1974~2005まで連載された建設の歴史散歩+エッセイ的な

第八回 玉川庄右衛門・清右衛門の墓

玉川庄右衛門・清右衛門の墓 ~建設の歴史散歩~ 菊岡倶也 『建設業界』日本土木工業協会 1974年10月号の記事より 

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建設の歴史を追う旅。玉川上水工事。工事オタでもない限り、婦女子が興味を持つ内容ではない。と思われましたが、日本の建設産業に請負業が登場したところに目を付けた、そこに男のロマンを見た思いがして、この長い連載に少し深く入り込んだ自分に気づいた次第。

そんな蒸し暑い秋。話を変えます(ワガママ)。この回で父が訪ねた小金井市と私は切ってもキレない、ではなく切れた体の関係にありました。父が亡くなってすぐ、母と私と夫は小金井公園のすぐヨコの探偵事務所みたいなコーポで同居を始めます。同時に私の持病が悪化して手術することに。聖ヨハネ桜町病院。上林暁の小説にもなった病院です。文学ミーハー心をくすぐられ、即座に切ってもらおーじゃないのと、図書館で借りた川上弘美の本を20冊ほど抱えて、秋風が吹く朝に入院したのでした。そして斬られました候。

 

探偵事務所の屋上テラス笑

 

ムサコには1年ちょっとしか住みませんでしたが、駅前に『大黒屋』という風情ある飲み屋が、坂の途中には新鮮な魚屋があり、なかなか良いところでした。

今晩飲んで明日は仕事がキャッチフレーズの大黒屋。

 

父が亡くなってしばらくして、父のことを本にしたいとのお話が。父が偉い人とかでは全くないです。暗く路頭に迷っている現代の若者に勇気と光を与えるべく、建築少年として(父の分野は建設ですが)生きた父の仕事を紹介したいとのことでした。

その本は書かれることなく終わりましたが、作家さんと画家さんとその大黒屋で飲んだ時に、その作家さんが、本はお嬢さんが書きゃいいんだよと言ったことを思い出しました。建設業に携わった男の話なんて全然わかんねーよ、とその時は思いましたが、長く生きると少し分かってくるものですね。不思議。

いつかの回に続く鴨。

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※添付画像には著作権が存在します。※表紙絵は牧野伊三夫さん(全体像がup出来ず部分になっています)※田中良寿さん編の著作目録を活用しています※建設産業図書館の江口知秀さんに多謝申し上げます。