建設の歴史散歩+

1974~2005まで連載された建設の歴史散歩+エッセイ的な

第九回 江戸の人足寄場 佃島・石川島のあたり

江戸の人足寄場 ~建設の歴史散歩~ 菊岡倶也 『建設業界』日本土木工業協会 1974年11月号の記事より 

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罪とは何ぞや。何かと不条理な世の中です。罪は何処にあるのか。何処からやってきて肩に止まるのか。考えたら先に進まなくなり、昨夜独り言のように、罪ってなんだろうと呟いたら、隣で夫が、罪は傍観者だよって。

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囚人仕事と聞いて思い付くのが網走刑務所の木工家具です。昔々に小学校の校庭に展示即売が来ていたことがありました。玄人はだしの職人芸は、家具というより一級の美術工芸品。普通の家庭には収まりきらない(価格帯も)和柄なゴージャス仕様に、見る人は皆息を飲んでいたっけ。彫り物…が好きなんだなと小学生の私が思ったか否かは内緒。

先日友人から貰ったお土産。コケシも立派な工芸品。郷土の特徴がgood👍

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始まりは受刑者の更生を目的としていたのが、いつしか社会の不平分子狩りになり、果ては強制労働になったのではとの疑念で結ばれるこの回。

舞台となる石川島は現在の佃島ウォーターフロントに浮かぶ江戸情緒を残す小島に、昔そうして働く人夫の姿があったとは。不平分子。私もその場にいたら、力のない女は何に駆り出されるんだろう。働きすぎて命を落とす男もいただろう。

川面に小舟が浮かび、伝統の祭りで賑わう神社。佃煮屋と駄菓子屋の風景の奥に人型の陽炎やチラつく狐火が見えるような気がして。

父の取材から浮かんだ疑念が、私にも学ぶ機会を与えた。罪なき罪人の鎮魂になればと祈ります。

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※添付画像には著作権が存在します。※表紙絵は牧野伊三夫さん(全体像がup出来ず部分になっています)※田中良寿さん編の著作目録を活用しています ※建設産業図書館の江口知秀さんに多謝申し上げます。